脳循環代謝(日本脳循環代謝学会機関誌)
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シンポジウム3 脳梗塞病態と新治療開発
超軽微低体温との併用療法
神谷 達司
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2015 年 26 巻 2 号 p. 83-91

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抄録

要旨 近年,脳梗塞急性期の治療方針としては,まず脳血流の改善を目的としてrt-PA の静脈内投与による血栓溶解療法が行われている.一方,脳保護薬としてフリーラジカルスカベンジャーが2001 年6 月1 日より世界初の脳保護薬としてわが国で認可され,臨床実地の場で使用されている.この脳保護薬による急性期脳梗塞治療をさらに有益にするためには,さまざまな方法が考えられる.複数の脳保護薬の併用などが考えられるが,相互作用等懸念される.そこで脳卒中における急性期脳保護として,脳保護薬と低体温療法の併用は,保護作用が増強されるなど多くの利点があり,近年注目を集めており,臨床応用が期待される.本稿では,ラット局所脳虚血モデルにおける脳保護療法と超軽微低体温の併用療法の効果と作用機序を概説する.将来,これらの動物モデルでの実験結果を参考にして,脳保護薬と低体温療法の併用を目指した臨床研究が行われることが望まれる.

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© 2015 日本脳循環代謝学会
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