日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナの浸透圧ストレスで活性化するプロテインキナーゼsubclass I SnRK2の機能解析
*溝口 昌秀梅澤 泰史軸丸 裕介吉本 光希中島 一雄高崎 寛則藤田 泰成白須 賢神谷 勇治篠崎 和子篠崎 一雄
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p. 0589

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抄録
SNF1-related protein kinase 2(SnRK2)と呼ばれる一連のプロテインキナーゼファミリーが植物の環境ストレス応答やABAシグナル応答に重要な役割を果たしていることが明らかになった。シロイヌナズナに10個あるSnRK2はIからIIIまで3つのサブクラスに分類される。サブクラスIIやIIIについては、ABAシグナル伝達および浸透圧応答における機能が報告されたが、サブクラスIは情報がきわめて限定的であった。このサブクラスIのメンバー(SRK2A/SnRK2.4, SRK2B/SnRK2.1, SRK2G/SnRK2.1, SRK2H/SnRK2.5)はABAを含む植物ホルモンでは活性化せず、浸透圧ストレス特異的に活性化する。メンバー間の機能的冗長性を考慮して、4つの遺伝子すべてをノックアウトしたsrk2abgh四重変異体を作成して解析したところ、生長阻害が観察された。マイクロアレイ解析により乾燥ストレス下で多くの病害・サリチル酸応答性遺伝子の発現が野生型植物に比べて増加していることが示された。しかし、この四重変異体ではサリチル酸量に変化はなく、ジャスモン酸-イソロイシン結合体の蓄積量は野生型植物の半分程度に減少していた。以上より、サブクラスIに属するSnRK2は、乾燥ストレス時におけるジャスモン酸とサリチル酸の拮抗作用に関与する可能性が考えられた。
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© 2011 日本植物生理学会
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