抄録
前回の生理学会(10年熊本)で、シロイヌナズナFT(AtFT)をrolCプロモーターで発現させた組み換えリンゴは、3~5ヶ月でin vitro開花することを報告した。今回シロイヌナズナのTWIN SISTER OF FT(TSF)を35SプロモーターまたはrolCプロモーターで発現させた組み換えリンゴを作出した。35S::AtFT組み換えリンゴは、in vitroでシュート頂に5mm程の蕾をつくり、開花することなく枯死した。一方、35S::TSF、rolC::TSF組み換えリンゴはそれぞれin vitroで開花した。花成への効果は、AtFT>TSF>MdFTの順となった。プロモーターの効果は35S>rolCとなり、FTの種類および発現場所により花成が大きく影響されることが示された。また、AtFTにGFPを連結した場合、35S::AtFT/GFP、rolC::AtFT/GFP導入組み換えリンゴは、GFPの蛍光の確認、また融合タンパクの確認が出来たが、どちらもin vitro開花を示さなかった。以上のことは、各種FT分子のリンゴの花成促進に働く作用は、その配列や構造の解明によって明らかにされることを示唆している。そこで、MdFT1、MdFT2、AtFT、TSF、Hd3aのアミノ酸配列を比較し、花成に影響を及ぼす部位の解析を行ったので報告する。