抄録
レタスの抽台(花芽分化及び花茎伸長)は一般に高温によって誘起される。高温条件下でのレタス栽培における抽台は、変形球の発生もともない、品質や収量の低下を招くことから、農業上重要な課題となっている。この栄養成長から生殖成長への移行のメカニズムについては、シロイヌナズナを主として明らかになりつつあるが、花成制御遺伝子のひとつであるFLOWERING LOCUS T (FT) 遺伝子は、多くの植物で花成を誘導するのに重要な役割を持つと考えられている。我々はレタスの花成誘導機構解明のため、Degenerate PCR法及び RACE法により、レタスからFT相同遺伝子(LsFT)を単離した。塩基配列解析及び系統樹解析の結果は、既報のFT相同遺伝子と高いホモロジーを示し、CaMV 35SプロモーターによりLsFTを過剰発現させたシロイヌナズナは抽台が早まったことから、LsFT遺伝子はレタスにおけるFTの相同遺伝子であると考えられた。リアルタイムPCRによりLsFTのレタスにおける発現解析を行ったところ、その発現量は茎長・花芽の発達段階とよく一致しており、経時的な解析により日周変動を示すことが明らかとなった。