日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ホウ素過剰感受性を示すシロイヌナズナプロテアソーム変異株の解析-ホウ素過剰に応答する基質の探索-
*坂本 卓也深尾 陽一朗藤原 正幸藤原 徹
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p. 0964

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抄録
我々はこれまでに、プロテアソームの19SサブユニットRPT5aがシロイヌナズナの根におけるホウ素過剰耐性に必須であることを報告してきた。プロテアソームは、基質の認識と展開を担う19Sとプロテアーゼ活性を有する20Sの2つの複合体から成り、能動的なタンパク質分解を通じて様々な細胞内プロセスを制御する。RPT5aに加えて、19SサブユニットRPN8a、RPN2a及びRPT2aもホウ素過剰耐性に必須であった。ホウ素感過剰における必須性が特定の19Sサブニットにのみ認められたことから、ホウ素過剰に応答し、かつサブユニット特異的に認識される基質が存在する可能性がある。本研究では、rpt5a変異株を用いてそのような基質の探索を試みたので報告する。
異なるホウ素条件で生育した野生株及びrpt5a変異株の根から精製したポリユビキチン化タンパク質群を、iTRAQ法を用いたLC-MS/MSにより解析した。結果、ホウ素過剰によって誘導され、rpt5a変異株でより蓄積するタンパク質が28種同定された。うち17種はプロテアソームの標的となりうるモチーフを有し、我々の方法がプロテアソームの基質探索に有効であることが示唆された。他に、ホウ素過剰に非感受性を示すrpt5aの復帰変異体を少なくとも2株単離した。これらの変異株ではホウ素過剰に応答してRPT5aに認識されるタンパク質を欠損している可能性が期待される。
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© 2011 日本植物生理学会
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