日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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土壌中難利用性リン利用能のシロイヌナズナ自然系統間比較解析
*古谷 あゆ美丸山 隼人小島 創一岡崎 圭毅信濃 卓郎和崎 淳
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p. 0965

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抄録
土壌中のリンの多くは、植物が直接利用できない難溶性リンや有機態リンとして存在しており、植物は根の形態を変化させたり、有機酸やホスファターゼを分泌したりすることで、リンを可溶化し、吸収している。
シロイヌナズナは世界各地に分布していることから、各系統は異なる低リン応答、リン獲得戦略を持ち、それぞれの土壌に適応していると考えられる。しかし、土で育てた場合の各系統のリン欠乏応答はまだ知られていない。そこで本研究では、土耕栽培試験を行い、自然系統間の土での難利用性リン吸収能を比較解析した。さらに無菌栽培試験を行い、各系統のリン欠乏への適応戦略を明らかにすることを目的とした。
32のシロイヌナズナ自然系統を、リン欠如区、標準リン区、3倍リン区を設け、土耕栽培した各自然系統の地上部の生育量、リン吸収量を測定したところ、リン吸収特性が異なっていた。多くの系統はリン施肥を増やすと、生育量、吸収量は上がるが、Enkheim系統のように、3倍リン区で標準リン区よりも生育、リン吸収が減少する系統が認められた。リンが少ないときのリン吸収のばらつきを考察するため、実験に用いた32系統を、吸収量・生育量が低く、リン欠乏に弱いグループ、吸収量は少ないが、要求量が少なく、利用能が高いグループ、吸収量は高いが生育量が低いグループ、吸収量・生育量がともに高いグループに分けて、比較解析を進めている。
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© 2011 日本植物生理学会
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