日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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リグニンの量と構造の制御
*梅澤 俊明
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p. S0017

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抄録
木質(リグノセルロース)は、地球上に蓄積するバイオマスの9割以上を占めており、食料と競合せず、カーボンニュートラルであることから、その利活用が次世代バイオマスエネルギー利用技術の開発において喫緊の課題となっている。しかし、木質は高等植物の体を支える構造材料でありそもそもそう簡単に分解されるようにはできていない。つまり、木質の成分利用の難しさは木質構成成分の存在状態(超分子構造)の強固さに帰結される。木質の利用、とりわけ酵素糖化等のような温和な反応条件における分解を想定する場合、リグニン量の低減を目指した代謝工学的制御が盛んに研究されてきた。一方、この木質の超分子構造の特性を考慮すると、激烈な反応条件で一気に強固な超分子構造を崩してしまう戦略も重要である。従って、木質のガス化など様々な目的に応じたリグニンの量と構造の個別の制御が必要である。現在までにリグニン生合成の制御については、リグニンの構造と量を代謝工学的にかなり制御することが可能となっている。最近では、リグニン生合成の統御機構が他の代謝あるいは形態形成との関連の上で活発に研究されている。一方、リグノセルロースの超分子構造形成の精緻な機構については今後の解明が待たれる状態にある。本講演では、リグニン生合成の代謝工学研究の現状と将来について考察したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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