抄録
小児期で痛みの主訴は多く,WHOの報告でも世界的な問題として扱われている.特に慢性疼痛は生活障害に繋がりやすく社会的なテーマでもある.疼痛は侵害受容性,神経障害性などと分類されてきたが,最近,第三の痛みを表す言葉として国際疼痛学会はNociplastic Pain(日本語訳は痛覚変調性疼痛)を提案してきた.この考え方は現在まさにどのように臨床場面で用いていくべきなのか議論され始めているところだといえる.その概念で重要なのは痛みのみならず睡眠障害や疲労感,さらには他の感覚過敏(音,光過敏など)も評価するべきだとされている点であり,臨床的にも注意したい.本小論では,痛覚変調性疼痛は中枢神経だけの問題であるのかどうかという議論からはじめ,心因性疼痛(臨床的には使用するべきではない),慢性一次性疼痛や中枢神経感作との関係性についても言及し,さいごに治療のあり方の基本についても簡単に述べた.