2020 年 36 巻 1 号 p. 24-34
小児の死亡時画像診断は死因究明,最終的な病態の把握,医療行為の確認,そして虐待の有無等生前の成育状況の評価などを目的に行われている.近年の報告では死後MRIによる解剖学的異常の描出が死後CTより優れていることが示されているが,検査費用が病院負担となることの多いわが国の現状では広く行うことは困難であり,死後CTがより多く実施されている.硬膜下出血など頭蓋内出血や骨折の評価には死後CTも有用であり,予期せぬ乳幼児の突然死の中に潜んでいる虐待による死亡をスクリーニングするために,院外死亡例について死後CTで外傷死をチェックしていくのが現実的で意義のある方法である.