川崎病は乳幼児に好発する原因不明の急性熱性疾患で,小・中動脈の血管炎を引き起こす.近年,頸部造影CTで咽後間隙に低吸収域を認めた川崎病症例の報告が散見され,それは浮腫であると考えられている.
頸部造影CTで副咽頭間隙膿瘍及び咽後浮腫の所見を認めた4歳男児の川崎病症例を経験したので報告する.
来院時,患児は重度の頸部痛を訴えており,頸部の可動域制限を認めた.初回の頸部造影CTで咽後間隙と左副咽頭間隙に低吸収域を認め,後者は周囲の増強効果を伴っていた.前者は川崎病に伴う咽後浮腫であり,後者は副咽頭間隙膿瘍と考えた.咽後浮腫はγグロブリンと抗菌薬治療の後に消失したが,副咽頭間隙膿瘍は縮小傾向ではあったものの消失することはなかった.我々は抗菌薬治療を継続し,次第に頸部痛と可動域制限は改善した.第19病日に3回目のCT検査を施行したところ膿瘍はほぼ消失しており,第48病日に合併症なく退院した.