2023 年 39 巻 1 号 p. 2-8
乳幼児における上部尿路感染症(urinary tract infection: UTI)の反復と,それによる腎の瘢痕化は慢性腎不全への進展リスクである.したがって上部UTIを起こした乳幼児の管理目標は,その反復を防ぎ,腎瘢痕の形成を阻止することである.
近年,上部UTIを起こした乳幼児に対する画像検査の進め方について,ボトムアップアプローチ(Bottom-Up Approach: BUA)とトップダウンアプローチ(Top-Down Approach: TDA)と呼ばれる2つの対照的なアルゴリズムが提唱されている.BUAは上部UTIを起こした乳幼児全例に排尿時膀胱尿道造影(voiding cystourethrography: VCUG)を行い,膀胱尿管逆流(vesicoureteral reflux: VUR)を有する患者を抽出し,管理しようとするものである.一方,TDAは上部UTIを起こした乳幼児全例を対象として急性期に99mTc-DMSA腎シンチグラフィーを実施し,異常を認めた場合のみVCUGでVURの有無を検索するというアプローチである.
BUAとTDAのいずれにも一長一短があるが,筆者はわが国の現状を考慮すると,BUAが現実的であると考えている.