2025 年 41 巻 2 号 p. 102-110
日本の小児肝移植医療は,生体肝移植が主体に発展してきた.1997年に臓器移植に関する法律が制定され,脳死後の臓器提供が可能となり,2010年7月の臓器移植法の改正で,15歳未満の脳死後の臓器提供ができるようになっている.臓器移植に関連した画像診断検査は,脳死判定の判断やレシピエントの術前,術後評価,肝移植ドナーの術前評価に不可欠である.小児肝移植の適応疾患は多岐にわたるが,胆汁うっ滞性肝疾患である胆道閉鎖症が最も多い.そのほか,腫瘍性疾患として肝芽腫,血管腫,劇症肝炎,代謝性肝疾患,先天性門脈大循環短絡などが挙がる.これら肝移植の適応となる肝疾患,肝移植手術に必要な血管や胆管解剖などを含めた画像を踏まえて,適切な画像検査を実施,評価することが大切である.
本稿では,肝移植の適応となる代表的な肝疾患および術前評価,肝移植ドナーの術前評価として必要な知識について解説する.