本稿は小児期発症の肝疾患のうち,Fontan術後肝疾患(FALD),胆道閉鎖症による肝硬変,下垂体機能低下症に伴うMASLD/MASHを概説する.いずれも肝の線維化,肝硬変に至るリスクが高く,小児期から成人期に至る多領域連携と長期経過観察が必要な病態である.FALDはFontan循環に伴って生じる高い中心静脈圧とそれによる慢性的なうっ血が主たる原因であり,肝線維化と肝結節の画像評価が重要である.胆道閉鎖症は葛西手術後にも多くの症例で線維化が進行し,胆管炎,肝内結石や門脈圧亢進症が問題となる.下垂体機能低下症ではMASLD/MASHが好発し,線維化が進行して肝硬変にまで至る例がある.原因として特にGH/IGF-1の低下が示唆されている.非侵襲的に肝の脂肪沈着を定量評価できる手法として,PDFFなどMRIの有用性が注目されている.