抄録
ホルムアルデヒド(H2CO)分子は星間塵氷マントルに閉じこめられた形で,様々な分子雲中に存在しており,その存在量は一酸化炭素や二酸化炭素に匹敵する.ホルムアルデヒドは氷中COの水素原子付加反応による進化過程(CO→H2CO→CH3OH)で中間体として生成されることが,これまでの我々の実験で明らかになっている.しかしながらこれまでの実験では親分子をCOにして,一連の反応を一度に測定していたため,上記進化過程の後半:H2CO→CH3OHの反応素過程に関する情報を直接得ることが出来なかった.今回は親分子をH2COとし,H2CO→CH3OHの反応を定量的に調べた.講演では反応速度の氷温度依存性を中心に議論する.