抄録
原始惑星系円盤のSED(Spectral Energy Distribution)観測において、強い赤外超過を示す円盤は、107年以下の年齢のものに限られている。これより、原始惑星系円盤の寿命は 107年程度であろうと考えられている。この短い円盤寿命は、惑星形成理論、特に木星型惑星形成に対して強い制約条件となっている。
我々は、原始惑星系円盤でのダスト成長と沈殿の数値計算を行ない、得られたダスト成長により原始惑星系円盤のSEDがどのように進化するかを調べた。本研究では、ダスト成長の効果をみるため、ガス円盤は進化しないものとした。さらに、このSED進化の、円盤質量、ガスダスト比、ダスト合体確率などの量に対する依存性を調べた。
我々の得た主な結果は以下のようにまとめられる。
1. 従来いわれていたように、成長したダストは、円盤赤道面へと沈澱し薄いダスト層を形成する。ダスト層形成後は上層に浮遊する小さいダストが円盤のSEDを決める。
2. SED観測に見られる、107年での光度減少は、(円盤外側部分での)ダスト成長によって説明可能である。従って、ガス円盤自体の寿命は 107年より長くても良い。
3. 円盤半径が大きいほど、光度減少は遅れる。「高年齢の円盤の方が円盤半径が大きい」という Kitamura et al.(2002, ApJ 581)の結果は、この効果で説明できるかもしれない。