主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合, 第59回 日本理学療法学術大会
会議名: 第11回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 仙台大学(宮城県柴田郡柴田町)
開催日: 2024/11/09 - 2024/11/10
【はじめに、目的】
本研究の目的は,健常若年女性の母指球筋が全身の骨格筋量を反映するか否かを検索し(研究1),開発した母指球筋指標が地域在住中高齢者の筋量ガイド指標として妥当か否か(研究2)を検証することにある.
【方法】
研究1の対象者は右利き健常女子大学生5名 (平均年齢 20.8±0.8歳)である.まず,3テスラMRIを使用して母指球筋 を撮像し(T2強調画像,スライス厚3mm,30スライス),母指球筋の容積(cm³ )を測定した.同様に全身の骨格筋量の指標として大腿筋(大腿四頭筋,ハムストリングス)の容積も測定した。次に,母指球筋測定検査を臨床的に確立するために、超音波画像を用いて母指球筋最大厚(mm)を計測し,母指球筋容積および大腿筋容積との相関関係を明らかにした.研究2では,2021年12月から2023年12月の間にフレイル克服体力測定会に参加した40歳以上の新潟県佐渡市在住の女性地域住民118名(年齢中央値68歳、四分位範囲63.3-74歳)を対象とした。そして、研究1の母指球筋厚測定の妥当性を検証し、全身の骨格筋量ガイド指標としてはBIA法で測定した四肢骨格筋量(ASM)と母指球筋厚との相関性を検索した.
【結果】
研究1,若年女性のBMIは 20.4±2.1kg/m²であった. MRIで撮像された母指球筋容積(21.4±3.4cm³ )は大腿筋容積 (3589.8±233.9cm³ )とr=0.96 (p=0.015)の正相関,母指球筋厚 (16.6±1.7mm)とはr=0.88 (p=0.047)と正相関した.研究2の解析対象者のBMIは 22.5±3.0kg/m²であった.超音波で測定された母指球筋厚実測値とASM実測値 はr=0.202 (p=0.027)の相関に留まった.そこで,母指球筋厚とASMをそれぞれ身長の二乗(m² ),体重(kg),BMI (kg/m² )で補正したところ,体重補正 (r=0.47,p<0.001),BMI補正(r=0.58,p<0.001)と臨床的優位性が高まった.
【考察】
本研究の結果から,母指球筋は全身の骨格筋量を反映する臨床的ガイド指標との有用性が確認された.また,実装する際にはBMIで補正した母指球筋厚によるBMIで補正した四肢骨格筋量推定が最も有用性が高いと判断される.
【考察・結論】
本研究の結果から,母指球筋は全身の骨格筋量を反映する臨床的ガイド指標との有用性が確認された.また,実装する際にはBMIで補正した母指球筋厚によるBMIで補正した四肢骨格筋量推定が最も有用性が高いと判断される.
【倫理的配慮】
新潟医療福祉大学倫理審査委員会の承認(承認番号:18558-201221)を得て実施された.