日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: O - 35
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口述 6
新型コロナウイルス感染症対策期間中に介護保険認定に移行する予測因子とは?
-高崎調査からの示唆-
*村山 明彦樋口 大輔齊田 高介田中 繁弥篠原 智行
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抄録

【はじめに、目的】

我々は、新型コロナウイルス感染症 (以下、 COVID-19)拡大下での地域在住高齢者の健康に関する調査を継続している (以下、高崎調査)。今回、COVID-19対策期間中に 介護保険認定に移行した地域在住高齢者の特性を調査することで、新たな知見を得ることを目的とした。

【方法】

2021年5月から実施した高崎調査 (以下、ベースライ ン)のデータを用いた。1815名の地域在住高齢者に対して自己記入式の質問紙調査を送付して、942名から回答を得た。また、 2023年5月からフォローアップ調査 (以下、フォローアップ)を実施して、フォローアップまで追跡が可能であった330名を対象とした。ベースラインの時点で介護保険認定を受けていた88名を除外したうえで、欠損値は多重代入法にて補完を行った。介護保険認定に移行する予測因子として、ベースラインの年齢、性別、併存疾患、家族との同居、転倒歴、簡易フレイルインデックス、生活変化の質問票 (以下、QCL)を調査した。QCLは運動量、下肢筋力、食事量、コミュニケーション機会、不安の5項目で構成されている。さらに、フォローアップにおける介護保険認定 (要支援・要介護)の有無 (以下、アウトカム)を評価した。そのうえで、ロジスティック回帰モデルを構築した。

【結果】

介護保険認定群 (n=25)と自立群 (n=217)の群間比較の結果、年齢とQCL (下肢の弱りの自覚)に有意差が認められた。アウトカムを目的変数、有意差が認められた2項目を説明変数 として強制投入した二項ロジスティック回帰分析を行った。その結果は、年齢OR1.15(95%CI:1.06-1.25)、QCL (下肢の弱りの自覚)OR2.32(95%CI:1.24-4.36)であった。

【考察】

COVID-19拡大下では、地域での介護予防活動の縮小・中止が余儀なくされた。このような状況下でも、地域在住高齢者の年齢や下肢の弱りの自覚に留意し、予防に視座を置いた方策が望まれる。要支援・要介護区分ごとの解析でないという課題は否めないが、今回の知見は、新たな感染症危機の際にも援用できるかもしれない。

【倫理的配慮】

本研究はヘルシンキ宣言を遵守して計画され、高崎健康福祉大学研究倫理委員会審査会の承認を得た (許可番号2009号、2259号)。研究参加の同意取得は質問紙への氏名の記載をもって行った。

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