日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: P - 23
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ポスター 16
糖尿病を有しているフレイル症例の身体的特徴、血糖マネジメントについて
~外来初回評価におけるPilot-study~
*荘加 克磨澤村 彰吾井手上 元気田中 祐輔大塚 誠士松岡 伸幸堀田 亮輔高見 和久
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抄録

【初めに、目的】

フレイルとは要介護状態に至る前段階とされ超高齢社会に突入した日本において、その予防や改善は要介護予防・健康寿命延伸に直結するものと考えられている。近年、フレイルに至るリスクとして、糖尿病(DM)などの生活習慣病、心血管疾患の存在が報告されており、フレイルに至らないように疾患を適切に管理しフレイルへの移行を予防することが重要である。当院ではフレイル外来において月1回、医師、保健師、管理栄養士、理学療法士による包括的指導を行なっている。本研究は、当院フレイル外来におけるDMを有しているフレイル症例の特徴を明らかにすることを目的とした。また、DM管理において重要な指標である血糖マネジメントとの関連についても調査した。

【方法】

対象はDMにて当院に通院されている患者のうち、基 本チェックリスト(25項目)にて4項目以上該当しフレイル・プレフレイルと判定され、本研究への参加を承諾された14名。評価項目は基本属性(性別、年齢、身長、体重、BMI)、HbA1c、血清アルブミン(Alb)、Geriatric Nutritional Risk Index、骨格筋量(SMI:BIA法で測定)、腰椎骨密度、ロコモ25、身体機能としてSPPB-com、握力を測定、認知機能はMMSE、DASC-8で評価。そして、各評価項目の関連はSpearmanの順位相関係数にて相関係数を算出し検討した。また血糖マネジメントはHbA1cの値で良好群(7.0%未満)、不良群(7.0%以上)の2群に分け、各評価項目における基本統計量、標準化平均差(SMD)を算出した。

【結果】

身体機能の指標であるSPPB-comと各項目の間には、DASC-8(r=-0.628)のみ中等度の相関を認めた。また血糖マネジメントにおける2群間比較においては、良好群が、不良群と比して年齢、SPPB-com、Alb、DASC-8でSMDが0.8を上回った。

【考察】

身体機能の指標であるSPPB-comと認知機能およびADL能力の総合的な評価であるDACS-8に相関関係を認めたことから、DMを有しているフレイル症例における身体機能と、認知機能およびADL能力は関連している可能性が示唆された。また、HbA1cと各評価項目に有意な相関関係は認めなかったが、良好群と不良群の比較から身体機能と認知機能およびADL能力は血糖マネジメントと関連している可能性が示唆された。初期の段階で血糖マネジメントが不良の症例に関しては、急速にフレイルが進行するリスクが高いため症例の認知機能に合わせた運動指導、 ADL練習が必要と考える。

【倫理的配慮】

当院倫理審査委員会にて承認・承諾を得た。

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