日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第42回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 42_1-P-C-1
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一般演題(ポスター)
定量的な薬物間相互作用リスク評価のためのOATP1B内因性プローブおよび基質薬物に対するシクロスポリンAの用量および時間依存性効果の評価
*楠原 洋之望月 達貴Zamek-Gliszczynski Maciej J.吉田 健太Taskar Kunal平林 英樹Chu XiaoyanLai Yurong高島 忠之Rockich Kevin山浦 由之杉山 雄一
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抄録

【目的】本研究は、organic anion transporting polypeptide(OATP)1Bを介した薬物間相互作用(DDI)の内因性バイオマーカーの定量的性能を評価することを目的とした。【方法】健康成人ボランティア(10名)に、OATP1Bプローブ薬カクテル(ピタバスタチン2 mg、ロスバスタチン5 mg、バルサルタン20 mg)とOATP1B阻害剤シクロスポリンA(CysA、20および75 mg)を1時間間隔で経口投与[20mg(-1h )、75mg(-1h)]した。 OATP1B阻害の持続性を評価するため、75 mg CysAを時間間隔で経口投与した[75mg(-3h)]。 CysAとその代謝物AM1、プローブ薬および内因性化合物の血漿中濃度は、LC-MS / MSを用いて、または総ビリルビンと直接ビリルビンの実験室試験キットを使用して定量した。【結果・考察】血漿中濃度時間曲線下面積比(AUCR)、それぞれ20mg、75mg(-1h)および75mg(-3h)CysAにおいて、1.63、3.46および2.38(ピタバスタチン)、 1.39、2.16および1.81(ロスバスタチン)、 1.42、1.77および1.85(バルサルタン)であった。内因性OATP1Bバイオマーカーのうち、CP-I、CP-III、GCDCA-S、GCDCA-G、GDCA-S、GDCA-G、およびCDCA-24Gは、CysAの投与量に応じて最大血漿濃度が増加を示した(CmaxR>1.25) 。AUCRは、CmaxRほどには増加しなかった。投与間隔を延長すると、ピタバスタチンのAUCRは減弱しましたが、CP-IおよびGCDCA-SのCmaxRおよびAUCRは影響を受けなかった。ピタバスタチンのAUCRとCP-IのCmaxRまたはAUCRと関係は、本研究とOATP1B阻害剤としてリファンピシンを使用した以前の研究結果との間で一致していた。ピタバスタチンおよびCP-IのAUCR-1とCysAの最大血中濃度から、CysAの阻害定数Kiの推定値が得ることができた(それぞれ109±35および176±42nM)。【結論】内因性OATP1Bバイオマーカーは、OATP1B阻害を検出し、医薬品開発においてより正確なDDI予測の実現に貢献するとともに、薬物相互作用の個人間変動に関する理解を深めることにも活用することができる。[共著者]Drug Metabolism and Pharmacokinetics, Genentech, Inc.,Jialin Mao; 医療法人社団慶幸会 ピーワンクリニック 降旗謙一;東大院薬 前田和哉、藤原穫

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© 2021 日本臨床薬理学会
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