主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第43回日本臨床薬理学会学術総会
回次: 43
開催地: 横浜
開催日: 2022/11/30 - 2022/12/03
日本の国民病とされるスギ花粉症への治療は,未だ薬物療法が主流であり,アレルギー症状に対する対症療法でしかない.一方,アレルギー免疫療法は,アレルギー疾患の自然経過を変え得る,症状の治癒あるいは長期寛解が期待される唯一の治療法とされている.本邦では,舌下免疫療法(Sublingual Immunotherapy, SLIT)として,2015年にダニ舌下錠(ミティキュア®),2018年にスギ花粉舌下錠(シダキュア®)が承認された。また,世界に先駆け,2019年にdual SLITの安全性を示したことで,舌下錠の併用が支持される環境となった.現在、12歳未満においてSLITが可能なのは本邦だけである.本講演では,Ⅰ型アレルギーに対する治癒を目指した免疫療法剤の開発について、自らの経験を踏まえて事例を紹介したい。加えて,スギ花粉症に対するSLIT錠3年間の有効性(long-term efficacy),その後,休薬した2年間における疾患修飾効果(disease's modifying effect)について解説する.最後に,さらに期待されるであろう「アレルギー免疫療法の早期介入」の観点から,今後の展望を示したい.
参考文献
1)Biol Pharm Bull. 2020;43(1):41-48.
2)J Allergy Clin Immunol Pract. 2019 Apr;7(4):1287-1297.e8.
3)Allergol Int . 2020 Jan;69(1):104-110.
4)Int Arch Allergy Immunol. 2017;174(1):26-34.
5)J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Jul 29;S2213-2198(21)00825-4