日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第43回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 43_3-C-EL09-1
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教育講演
治験におけるPatient Public Involvementとその将来展望
*松山 琴音
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抄録

治験におけるPatient Public Involvement、すなわち患者市民参画は昨今よく聞かれるようになってきたものの、患者家族の当事者の方々との対話はなかなか双方向に弾む状況にない。このため、折角患者市民参画の活動を行っても、企業側あるいは医療機関側からの一方向の発信のみになったり、あるいは患者家族と企業、医療従事者との情報の非対称性や治験に関する知識などが障壁となって、対話にまで至らないことが多々あった。治験アンバサダーの活動はこれらの障壁を取り除くべく、能動的学習の取り組みがなされており、治験アンバサダーに期待されるものを要点としてまとめると、i)医薬品開発や治験に関する十分かつ最新の知識、ii)医薬品開発や治験のステークホルダーと建設的,発展的なコミュニケーション能力、iii)患者代表者としての患者組織の不特定の人々へ効果的な情報や知識の伝達iv)以上の側面をさらに向上させるためのスキルの4点に集約することができると考えられる。今後、治験アンバサダーの活動を持続可能なものにするために、患者・市民との社会共創の「場」を確保し、社会システムとしての一端を担えるようにすること、そしてこれらの活動の普及を図ることは重要である。治験アンバサダープロジェクトにおいては、知識伝達に向けたEUPATIプログラムトレーニング、ハンズオントレーニング、振り返りのワークショップにより、能動的な学びを深め、参加者が患者家族に向けた支援や発信ができるような取り組みを本年度行っている。よって、本講演においては、治験アンバサダーとしての活動を通じ、これらの患者市民参画が社会に浸透していき、患者家族のエンパワーメントを強化するにはどのようにするべきか、そして我々治験に関わる様々なステークホルダーを巻き込んだ社会システム化を行っていくにはどうしたら良いかにスポットを当て、事例を通じて将来展望を考察する。

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