日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第43回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 43_3-C-P-112
会議情報

一般演題 ポスター
新医薬品開発における食事の影響試験:本邦承認情報に基づく試験デザインと情報提供の検討
*西田 千聡高橋 茉乃岡田 章永井 尚美
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】経口固形製剤の新医薬品開発では、食事がバイオアベイラビリティに及ぼす影響を評価することが必要である。医薬品のプロファイルや開発状況を考慮し、規制文書1-3)における基本的な考え方を踏まえて臨床開発段階で食事の影響試験が実施される。本研究では、本邦で承認された経口投与の新有効成分含有医薬品開発時に実施された食事の影響試験(FE試験)を体系的に評価し、FE試験デザインと情報提供内容について検討を行った。【方法】2010年4月から2020年3月に承認された経口投与の新有効成分含有医薬品200品目、332試験を対象に公開されている情報から、FE試験の実施状況、試験デザイン、添付文書での情報提供を調査し、薬物プロファイルを踏まえて評価を行った。【結果・考察】薬物プロファイルと医薬品開発時のFE試験実施の要否、標準的な試験デザイン以外のFE試験が実施された事例、FE試験の結果と情報提供内容について整理した。23品目でFE試験が実施されなかった。FE試験の多くは、クロスオーバー、本邦承認用量内の単回投与で、高脂肪食摂取によるデザインであった。179品目が即放性製剤であり、原薬のBiopharmaceutics Classification System(BCS)毎にFE試験での食後/空腹時のAUC(GMR)を検討したところ、低溶解性薬(BCS2又は4)が高溶解性薬(BCS1又は3)に比べて統計学的有意に高値を示し、薬物間のばらつきも大きく、高脂肪食以外の食事条件で試験を実施している医薬品が多かった。原薬のLogP値及び分子量が大きい薬物では、食後/空腹時のAUCが特に大きく、食事条件による変動も大きかった。原薬の特性や開発時の製剤の処方変更の程度に基づき、最終製剤を用いたFE試験に替えて、開発早期に実施したFE試験の情報を利活用できる場合があると考えられること、即放性製剤では、原薬特性、製剤変更や適応疾患を考慮して、高脂肪食に加えて他の食事条件の検討も必要な場合があること等が見いだされた。【結論】本研究で得られた知見は、FE試験の実施要否・試験条件を検討して、多様な開発戦略に合わせたFE試験の計画、実施及び評価に資すると考えられた。【参考文献】1) 医薬品の臨床薬物動態試験(平成13年6月、医薬審発第796号)2)U.S.FDA. Food-Effect Bioavailability and Fed Bioequivalence studies. 2002.3)U.S.FDA. Assessing the Effects of Food on Drugs in INDs and NDAs. 2022.

著者関連情報
© 2022 日本臨床薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top