主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第43回日本臨床薬理学会学術総会
回次: 43
開催地: 横浜
開催日: 2022/11/30 - 2022/12/03
【目的】血液透析(hemodialysis, HD)施行時の薬物治療では、HDによるクリアランス (CLHD) を考慮した投与計画を立案する必要がある。しかし、HD施行時の薬物体内動態に関する情報は十分でなく、CLHDが未知である薬物も存在する。薬物の分子構造は必ず得られる情報であるため、構造式からCLHDを予測するモデルを確立することで、全ての薬物のHD施行時における投与計画の立案が可能となる。本研究では、定量的構造-薬物動態相関解析を行い、機械学習手法を用いて分子構造からCLHDを予測するモデル (CLHDモデル) を構築した。
【方法】文献より得られた47化合物、457人の透析クリアランス値を対象とした。47化合物の2 次元構造データから、ADMET Predictor 10.4 (Simulation Plus)を用い、分子構造および物理化学的性質を表す分子記述子を133 種類算出した。目的変数をCLHD、説明変数を血液流量、透析液流量、透析膜、分子記述子とし、RパッケージCaret ver. 6.0-92を用いてXGboost (linear model), XGboost (tree model), neural network, random forestで解析し、CLHDモデルを構築した。予測精度の評価は、平均平方二乗誤差 (RMSE)、決定係数 (r2)、平均絶対誤差 (MAE) を用いて行った。
【結果・考察】XGboost (tree model)を用いて作成したCLHDモデルが最も精度よくCLHDを予測し、RMSEは20.2 mL/min、r2は0.884、MAEは15.1 mL/minであった。このMAE の値はCLHDの値に比べ小さく、XGboost (tree model)を用いたCLHDモデルの臨床応用が期待される。