日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第43回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 43_3-C-S31-4
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シンポジウム
医療における大麻・カンナビノイドの使用状況
*正高 佑志
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抄録

2020年に国連麻薬委員会が大麻のカテゴリーを見直したことで、大麻の医療的価値は国際社会の承認を受ける形となった。実際の使用に際しては、処方箋医薬品から健康食品に至るまで幅広い形で流通しており、これらは法的に、1)カンナビノイド医薬品、 2)大麻由来製品、3)ヘンプ由来製品に分類される。1)カンナビノイド医薬品としては1980年代に合成THC(ドロナビノール)が難治性嘔気・嘔吐を適応に承認され、2000年以降はSativex、Epidiolexがそれぞれ、多発性硬化症の痙性と難治てんかんを対象として流通している。これらは標準医療の範疇で処方箋医薬品として活用されている。一方で、2)大麻由来製品は代替医療として使用されており、国や地域によって千差万別であるが、慢性疼痛、不安、不眠、抑うつ、PTSDなどの精神症状、またがんや神経変性疾患などのその他の治療手段が乏しい症状・疾患に対して適用されることが多い。また精神作用成分の少ない大麻草はヘンプとして法的に区分され、食品・サプリメントとして流通しているが、これらの中にも実質的に治療手段として活用されているものが含まれている。日本国内でも2019年以降、一部カンナビノイド製品の流通の拡大と規制強化が認められている。本講演ではこれらの区分毎に主な製品の使用状況について概観し、本邦における医療大麻の今後の展望についても検討する。

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