主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第43回日本臨床薬理学会学術総会
回次: 43
開催地: 横浜
開催日: 2022/11/30 - 2022/12/03
臨床薬理学は薬理学に単にヒトにおける、という意味の「臨床」を冠したものではなく、臨床医学の一分野である。しかし残念ながら臨床薬理専門医は英国のような国家資格としての専門医ではない。専門医に関してはこれまでの多くの議論がなされてきたが大まかには3つのあり方、ミッションの可能性がある。一つは医学部における卒前教育である。今回の医学教育コアカリキュラム案に初めて薬物治療に関して習得すべき内容が提示された。適切に薬剤を処方できるスキルは処方エラーのリスクを減少させるために必須であり、英国では卒前教育で身につけるべき4つのスキルの一つであり、最終学年での実践的な処方に関するCBTをクリアしないと卒業できない。臨床薬理専門医は医学部で学ぶべき内容を明確化し、導入を働きかける必要がある。2つ目は卒後の初期、後期研修への関与である。働き方改革などで業務時間外でのセミナーなどは設定し難くなっているが、e-learningコンテンツを充実させ、特に多併存疾患での多剤併用、小児、高齢者や特殊病態下の薬物治療、相互作用など疾患、臓器横断的な重要なトピックに関しては専門医は貢献できる可能性が大である。最後に所属する医療機関での臨床研究への関与である。これは適応外薬剤の使用に関してのサポートも含まれるが臨床薬理専門医は研究計画の作成から実施、データの解釈や評価まで必要なサイエンス、倫理、実務のスキル、リテラシーを備えた存在であり、貢献できる内容は多い。本シンポジウムはこれらについて現状と今後の課題について議論したい。