日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第44回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 44_1-C-S01-2
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シンポジウム
JCOGにおける患者市民参画の取り組みとLay summary
*木村 綾
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抄録

日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)は、成人固形がんを中心とした16の疾患領域別研究グループを持つ日本最大の多施設臨床研究グループである。その中にある中央支援機構では、登録中:約50試験、追跡中:約40試験、準備中:約15試験の支援を担っている。

近年、研究の立案段階から患者・市民が参画する試み(Patient and Public Involvement:PPI)が進展している。JCOGでは2018年に患者参画小委員会を発足し、いち早く活動を開始した。JCOGではセミナーと臓器別研究グループの意見交換会を通じて、臨床研究に造詣の深い患者市民を増やし、患者市民の意見を取り入れて患者のニーズに合致した研究を行うようにすることをPPIの目標としている。具体的な活動としてセミナーとグループ毎の意見交換会を定期的に開催している。その活動をより活性化することを目指して患者参画小委員会に一般を代表する4名の外部委員を迎えた。

また、患者参画ポリシーを策定しInvolvementに加えてEngagementにも着手した。Engagementは「研究終了後に研究者が結果の情報や知識を社会と共有すること」と定義され、学会発表、広報、プレスリリースが主に当てはまる。JCOGでは、Emanuelらの研究倫理8要件中の「候補者を含む被験者の尊重」で謳われている「研究参加者に対する研究結果の説明」を含めて「Patient and Public Engagement(PPE)」と定義し推進することとした。その取り組みの一つとして、研究の主たる解析結果の発表時に研究参加者向けの結果の説明「Lay summary」の作成を開始した。主として研究参加者への試験結果の説明を行うことを目的とし、研究事務局を通じて各参加施設の担当医より直接説明を行うとともに、JCOGウェブサイトに公開している。これまで公開中のLay summaryは3試験であり、今後も公開を続けていく。

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