主催: 日本臨床薬理学会
高齢化に伴い、アルツハイマー病やパーキンソン病をはじめとした神経変性疾患を発症する患者は増加の一途を辿っている。令和2年の本邦における調査ではアルツハイマー病は794,000人、アルツハイマー病は289,000人と報告されており、医療財源への負荷も多大なものとなっている。パーキンソン病に目を向けると、欧米では1998年からパーキンソン病治療薬や治療法に関する費用対効果の分析が報告されているが、本邦ではこれまであまり報告は少なく、最近になって徐々に増えつつある。
一方、本邦の国民医療費は急激に増大しており、令和2年度の医療費は約43兆円、そのうち薬剤費比率は約20%と言われ、費用対効果を考慮して薬剤選択を考える必要がある。そのためには、フォミュラリの策定とともに後発医薬品やバイオシミラーの使用等を推進し、病院薬剤師も病院経営に積極的に関与していくフェーズに入ってきている。
本発表では、欧米と本邦の神経変性疾患、特にパーキンソン病治療における費用分析事例を紹介しながら、今後どのような観点から治療薬を選択するか考察したい。また、薬剤師として医療費の削減にどう関わるか、病院薬剤師として病院で使用する医薬品費用の削減に対してどのように対峙するかについて、自施設での取り組みも紹介しながら皆さんと考えていきたい。