日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第45回日本臨床薬理学会学術総会
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シンポジウム
遺伝子治療・再生医療におけるガラパゴス化とドラッグロス
米満 吉和
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p. 6_-

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抄録

 2000年、日本の医薬品市場は世界の16%程度で米国に次ぐ2位であった。当時外資系製薬企業にとって日本は魅力的な市場である一方、国内治験における高いコスト、申請を全て日本語で行う必要があるなどのハードルがあることに加え、当時の医薬品機構の審査体制も欧米に比して脆弱であったことから、欧米での承認から日本国内承認まで数年〜10年以上を要していた。この問題が、後にドラッグ・ラグとして広く認知されることになる。  2012年に政権に返り咲いた安倍晋三首相は、国内未承認薬を個人輸入により使用した薬剤を使用した結果、自身の病状が劇的に改善した経験から、当時のドラッグ・ラグの問題に大きな疑問を持った。その解決のために医療制度改革を前面に掲げ、PMDAの機能強化を行うと共に再生医療3法を成立させた。うち一つが2014年11月に医薬品医療機器等法(改正薬事法)であり、新設された再生医療等製品を対象として条件及び期限付承認制度が導入された。一方、第2次安倍政権期はドラッグ・ラグの問題は概ね解消しつつあった。  それから10年、最近また新たな問題が浮上して来た。それは欧米承認済みの画期的医薬品が、いくら待っても日本に入って来ないという「ドラッグ・ロス」という問題であり、一方で、国内で条件及び期限付承認を受けた製品が海外へ出て行けないというガラパゴス化の問題である。これらはドラッグ・ラグとは全く異なるメカニズムで発生しており、前者は国民の生命に関わる問題、後者は再生医療の産業化を困難にする問題である。  そしてこれらの問題は、いずれも第I-II相試験(あるいは探索試験)の取扱いにも大いに関係する。  本シンポジウムでは、日本の遺伝子治療・再生医療におけるドラッグ・ロス、ガラパゴス化が発生している要因について明らかにする。更に、コロナパンデミックにおけるワクチン開発を例に、探索試験と検証試験がどのようになされたか、もレビューしたい。その上で、その解決法について議論したい。

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