日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第45回日本臨床薬理学会学術総会
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シンポジウム
国際共同治験を利用した医薬品開発における日本人での第Ⅰ相試験のあり方について
大坪 泰斗
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p. 7_-

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抄録

国際共同治験に日本が参加するにあたっては、治験参加者に被験薬を投与したときの安全性及び薬物動態が日本人と外国人で大きく異ならないことを予め確認することが重要であり、多くの場合その検討に、日本人での第Ⅰ相試験(日本人第Ⅰ相試験)のデータが活用されてきた。一方で、海外で開発が先行し、検証的な国際共同治験の計画・実施段階で初めて日本での開発が検討・着手されるような医薬品では、国際共同治験へ日本から参加する前に日本人第Ⅰ相試験の実施が必要となった場合、日本での開発の遅延(ドラッグラグ)や見送り(ドラッグロス)を招く恐れがある。このような状況に陥る医薬品の増加を懸念して、厚生労働省が2023年に開催した産学の有識者を構成員とする会議において、治験における日本人参加者の安全性の確保と、本邦における新薬の迅速な薬事承認を両立させる観点から、日本人第Ⅰ相試験の必要性に係る考え方が整理され、通知「海外で臨床開発が先行した医薬品の国際共同治験開始前の日本人での第Ⅰ相試験の実施に関する基本的考え方について」(以下、新通知)が発出された。新通知では、「日本が国際共同治験に参加する前に、利用可能なデータから、国際共同治験で検討される用法・用量が日本人治験参加者に適用されたときの安全性・忍容性が説明でき、かつ、安全性が臨床的に許容・管理可能かを検討した上で、必要と考えられる場合を除き、原則として、日本人での第Ⅰ相試験を追加実施する必要はない。」とされた点が注目されている。ただし、新通知発出後も、医薬品開発の初期段階における主要な民族的要因の特定や日本の新薬開発能力の向上の観点から、第Ⅰ相試験を含めた早期の段階から臨床開発に日本が参加することが望ましいという考え方に変わりはないともされている。本講演では、新通知の内容の紹介とともに、新通知を踏まえた上での日本人第Ⅰ相試験の要否の考え方について解説したい。

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