日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第45回日本臨床薬理学会学術総会
会議情報

一般演題(ポスター)
抗VEGF療法関連高血圧に対するアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬の有効性の検討
生駒 龍興朴 将源谷山 佳弘金井 雅史海堀 昌樹倉田 宝保
著者情報
会議録・要旨集 フリー HTML

p. 98-

詳細
抄録

【背景】抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)薬は,様々な固形がんにおける標準治療薬として使用されている分子標的薬である.治療関連有害事象として高血圧が代表的であるが,支持療法の明確なコンセンサスはない.本態性高血圧症の治療に準じて,カルシウムチャネルブロッカーやアンジオテンシン受容体拮抗薬が一般的に用いられるのが現状である.アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)は新規降圧薬として登場したが腫瘍領域での有用性の報告は少なく,抗VEGF療法を受ける患者の高血圧管理におけるARNIについて検討した.【方法】2021年4月から2023年7月の間に,関西医科大学附属病院で抗VEGF療法を受けた固形がん患者767例の中から無作為抽出した400例を対象に後方視的に調査した.【結果】400例中216例が高血圧を新規発症または増悪を認めた.患者背景は以下の通りであった,年齢(中央値): 59歳 [36-89歳],男性: 91(42%),高血圧を併存: 105(49%),主要な原発巣: 大腸癌(57, 26%).抗VEGF療法の薬剤は,モノクローナル抗体薬を受けた症例が191例(88%),25例(12%)がチロシンキナーゼ阻害薬を受けた.高血圧の治療方針としては,経過観察(77, 62%),抗VEGF療法の中止(7, 3%),降圧薬の開始・増量(75, 35%)であった.降圧療法を受けた症例で,ARNIは5例(7%)で開始されていた.降圧薬を開始・増量した症例の中で,72%で血圧コントロール(治療開始後に至適域血圧まで低下)が不十分であった.ARNIの投与を受けた症例では血圧コントロール率が40%であり,他の降圧薬と比較して最も高率であった(vs. 28%, p値: 0.65).ARNIは収縮期血圧(中央値)を18 mmHg,拡張期血圧(中央値)を23 mmHg低下させた.【結論】抗VEGF療法中の高血圧の適切なマネジメントは重要であり,ARNIなどの新規降圧薬の有用性が示唆された.

著者関連情報
© 日本臨床薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top