日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第46回日本臨床薬理学会学術総会
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不整脈疾患に対する遺伝学的検査の臨床的意義
相庭 武司
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p. 85-

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抄録

近年の遺伝学的研究と遺伝子解析・診断技術の進歩に伴い,がんや希少難病など様々な疾病で遺伝学的検査の臨床的意義が高まっている。遺伝学的検査が適応となる不整脈疾患は,先天性QT 延長症候群(long QT syndrome: LQTS)やカテコラミン誘発多形性心室頻拍(catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia: CPVT),Brugada症候群など,致死性不整脈を発症し失神,突然死の原因となる疾患が多い。さらに進行性心臓伝導障害(progressive cardiac conduction defect: PCCD),家族性徐脈症候群,QT短縮症候群(short QT syndrome: SQTS)や,不整脈原性右室心筋症(arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy: ARVC)、ラミン心筋症など不整脈を合併する心筋症に対しても遺伝学的検査が診断や治療など臨床的に重要な意味をもつ。 LQTSの主な原因遺伝子:KCNQ1(LQT1), KCNH2(LQT2), SCN5A(LQT3)は先天性LQTSの7~8割に同定されエビデンスも多く、遺伝型と表現型との関係が良く知られている。LQT1では運動制限を遵守、LQT2では音刺激などを回避するなど、遺伝型に沿った生活指導を行うことで不整脈発作を回避することができる。また薬物治療においても、遺伝型を考慮した選択が可能である。さらに各遺伝型のみならずバリアント毎に重症度の高低も報告されつつあり、遺伝学的検査の結果がリスク層別化に重要な役割を果たしており、遺伝学的検査の臨床的意義は非常に高い。またCPVTでも、遺伝学的検査でRYR2が7割程度に同定され、本人の診断、薬物治療の選択(フレカイニド投与)や家族スクリーニングなど、本人のみならず家族(血縁者)の健康にも多大な影響を与える。一方、BrSやARVCにおいては、診断や予後予測に一部の遺伝型やバリアントが有用となりつつあるが、遺伝学的検査の結果が診断・治療に与える影響は必ずしも高いとは言えない。唯一ラミン心筋症については、予後不良な疾患の一つのため遺伝学的検査による確定診断が、その後の治療方針決定に大きな影響をもたらす。 本講演では不整脈疾患における遺伝学的検査の有用性と課題について解説する.

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