抄録
目的:本研究の目的は,患者サポート体制充実加算(患サポ加算)を取得した医療機関を対象とした2つの全国調査結果の比較に基づき,患者相談体制の充実による効果の経年変化を明らかにすることである.
対象と方法:対象は,「平成24年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」(中医協調査)の公表データにおける患サポ加算等の届出医療機関から無作為抽出された1500施設と,(公財)日本医療機能評価機構が実施した「患サポ加算における患者相談窓口の実態調査」(評価機構調査)における患サポ加算の届出医療機関全3434施設である.調査期間は,中医協調査が2012年11月から12月,評価機構調査が2015年3月から4月であった.調査票は,施設属性等と「患者相談体制の充実による効果」質問票の7項目で構成され,分析は,7項目それぞれで「大いにあてはまる」「ややあてはまる」に該当する数と解析対象に占める割合を算出し,両調査間で比較した.
結果:有効回答は,中医協調査が429 (28.6%),評価機構調査が1450 (42.2%)であった.「患者相談体制の充実による効果」の7項目のうち「クレーム再発防止につながった」の項目で統計学的有意差(p=0.007)を認め,評価機構調査の回答割合が高かった.
結論:患サポ加算新設から約3年間で「クレーム再発防止につながった」という主観的評価の向上が認められた.このことから相談窓口に期待されていた役割が果たされていることが示唆された.