水環境学会誌
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調査論文
農業集落排水処理水の灌漑利用からみた回分式活性汚泥法の運転管理
中野 拓治李 雨桐治多 伸介
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2025 年 48 巻 p. 27-38

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抄録

本研究は, 農業集落排水施設に広く採用されている回分式活性汚泥法の処理水について, 「処理水の灌漑プロジェクトに対するISOガイドライン」の水質レベルを達成するために必要な運転管理方法を検討した。処理水のBOD濃度には, 回分槽の有機物の酸化分解や窒素化合物の硝化促進とともに活性汚泥の流出制御を通じた運転管理が重要であり, 処理水のBOD濃度とSS濃度は回分槽のDO濃度を2~3 mg L-1で管理し, SVIを100 mL g-1以下に維持することで水質が最も良好なカテゴリーAを達成できる可能性が高いことが分かった。処理水の大腸菌群数には, 消毒槽の残留塩素濃度と水理学的滞留時間, 処理水のSS濃度と水温が影響し, CT値 (消毒槽の残留塩素濃度に水理学的滞留時間を乗じた値) を2.8 mg min L-1以上に確保することでカテゴリーAの水質レベルを達成できる可能性が高く, 処理水のSS濃度水準を下げることは大腸菌群に対する不活性化効果を高める観点からも重要であると考えられた。

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