社会学評論
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外国人の居住地選択におけるエスニック・ネットワークの役割
国勢調査データを用いた人口移動理論からの分析
是川 夕
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2008 年 59 巻 3 号 p. 495-513

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抄録

日本に在住する外国人は戦後一貫して増加を続け,2006年末時点で208.5万人と日本の総人口の1.63%を占めている.こうした現象は多くの社会学者の関心を引きつけてきた.しかし一方で,エスニック・コミュニティ形成の要因について統計的データを用いて地域横断的に分析した研究は少ない.本稿はこのような問題意識に応えるべく,エスニック・ネットワークが外国人の居住地選択に与える影響を,全市区町村を標本とした重回帰モデルを使って主要国籍別に検証することを目的とする.その結果,エスニック・ネットワークは同胞人口の増加に対して正の影響を及ぼすことが確認され,これまで在日外国人研究によって明らかにされてきたことが地域横断的にみても妥当であることが示された.一方,エスニック・ネットワークは在留資格制度による制約条件のもと,国籍や性別ごとの受入態様に合わせて機能するものであり,エスニック・ネットワークは外国人の定住化へ向けた一般的経路ではなく,選択的に動員される資源であることが示された.

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© 2008 日本社会学会
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