社会学評論
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特集「ウィズ/アフターコロナの社会学―労働・福祉・教育分野から」
コロナ禍を経た自営業層の行方
―個人収入と生活状況に対する認識に着目して―
仲 修平
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キーワード: 自営業, 専門・技術職, 学歴
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2023 年 74 巻 2 号 p. 209-228

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抄録

新型コロナウイルス感染症の拡大による人々の働き方に及ぼす影響は,国内外で研究が蓄積されている.先行研究では,男性に比べて女性が,正規雇用者よりも非正規雇用者や自営業者がより大きな影響を受けていたことが示されている.本稿ではこれらの知見を発展させるために,コロナ禍の拡大期と収束期において,脆弱な階層に及ぼした影響がその内部でどのように異なるのかを検討した.具体的には,就業形態や職業と学歴の違いが個人収入や生活状況にどのような影響を与えているかを,2021年と2023年に実施したインターネット調査に基づいて分析した.

分析の結果,主に以下の知見が得られた.第1に,男女によって収入の水準は異なるものの,正規雇用者の収入が上方,非正規雇用者の収入が下方,自営業者の収入は両者の間にあるという布置関係は,2時点でほぼ変化がみられなかった.第2に,コロナ前と比べて生活状況が悪化したと回答する可能性は,正規雇用者に比べて自営業者の方が高く,その傾向が継続していた.第3に,自営業間の比較に基づくと,専門・技術職は他の職業に比べると収入の優位性はあるものの,コロナ前よりも生活状況が悪化する可能性には職業間の顕著な違いがみられなかった.他方,高学歴であることによって生活が悪化する可能性は低いことがわかった.分析結果は,自営業層は特定の条件を満たす人々以外にとっては難しい働き方の選択肢になりうることを示唆している.

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© 2023 日本社会学会
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