社会学評論
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社会的ネットワーク論
-関係性の構造化と対自化-
森岡 清志
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1979 年 30 巻 1 号 p. 19-35,113

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抄録
本稿はネットワークを、自己が他者ととり結ぶ関係性の総体ととらえ、この関係性理解によって諸個人の行動を把握する理論仮説の提示をめざしている。社会的ネットワークに関する諸業績の検討の後に、個人ネットワークにおける関係的資源活性化の効率上昇をめざして、ネットワークの構造化過程が進行する諸側面を分析する。この過程を関係核の設定と関係連合の形成として具体化し、その主体を「社会の事業家」と位置づける。ここに典型化されるネットワークに対比して、関係の固有性に依拠する諸個人のネットワークをコミットメントの連鎖ととらえ、その主体を対自的存在と定位する。この両ネットワークを両極として、さまざまな変異の様相を帯びる現実的実践的諸関係性を、実証科学の武器によって切開しうる方法の構築を志向して、次にネットワーク分析の規準群を設定する。本稿は、関係しあう諸個人がこの関係性のただ中で相互に固有の人間として所有されあうという認識、および、この関係創造のあり方に刻印づけられる歴史性こそ、当該社会の存立の形態そのものであるという理解を論理の基底に位置づけている。
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© 日本社会学会
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