社会学評論
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拡大する時の俗信
紺谷 友昭
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1982 年 33 巻 2 号 p. 57-73

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抄録

この研究は、現代日本人が広範に時の俗信を使用していることに着目し、その基本的原因を探ろうとする。この現象の分析は現代日本人の集団盲従的行動の原因解明に資すると思われる。
1 丙午年一九〇六年と一九六六年の出生率、死産率等を比較すると、一九六六年において俗信の影響が拡大した。さらに一九八〇年の札幌において葬式、結婚式における凶日忌避の実数を調べると、忌避率はいずれも九〇%以上であった。
2 教育、マスメディアによる拡大への影響を検討したあと、集団盲従的意識による俗信受容を検討。拡大は後者に有力な原因を持つ。この集団盲従的意識は現在、労働者の企業への固着に主要な基礎を持つに至っている。この固着は終身雇用制の発生 (一九二〇-三〇年代) と戦後における、その完成に主要な原因を持つ。
時の俗信の現代的拡大は基本的に、日本資本主義の労働者雇用方法の一結果である

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