社会学評論
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初期H・S・ベッカー論
小高 良友
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1989 年 40 巻 3 号 p. 295-309

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抄録
逸脱の研究者として著名なベッカーは、『アウトサイダーズ』公刊までに、専門職を中心にした職業研究を主体とする多数の業績を発表してきた。本稿では、それら作品群と『アウトサイダーズ』との関連を手がかりにして、『アウトサイダーズ』に描かれた逸脱研究論をベッカーが生み出しえた理由の一端が考察された。
ベッカーは、専門職を中心とする職業研究の研究者であると同時に、専門職 (者) 的性格と逸脱 (者) 的性格を兼ね備えたダンス・ミュージシャンでもあったがゆえに、専門職 (者) と逸脱 (者) との類似性に気づく一方、専門職者のなす逸脱がもつ研究上の意義にも気づいて、専門職を中心とした自他の職業研究成果や職業体験を転化させた『アウトサイダーズ』の逸脱研究を生み出しえたとおもわれる。
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