抄録
本稿では,人々の日常的・実世界におけるインタラクションを対象とした質的研究として「相互行為分析」について紹 介する.相互行為分析では,インタラクションが収録された映像を繰り返し観察し,インタラクション内の人々の振る舞い(音 声発話や身体動作など)の連なりに着目するものである.相互行為分析の実践例として,日本科学未来館における科学コミュ ニケーション場面を対象とし,人々の振る舞いの連なりに着目した3つの研究を紹介する.科学コミュニケーション場面内に おいても,人々は様々な活動に従事し,その活動は様々な環境の中で起こっている.このような中で人々は多様な形で振る舞 いを連ね,その場の活動を展開しているという詳細を相互行為分析は明らかにするものである.