社会学評論
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日本のアーバン・エスニシティ
--都市下層の調査から--
青木 秀男
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1992 年 42 巻 4 号 p. 346-359,484

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抄録
本稿は、都市下層調査による知見に基づき、また先行のエスニシティ研究を念頭におき、 (日本の) 外国人労働者の (都市) 社会学的研究のための仮説の構成と検証をめざす。
本稿は、外国人労働者を次のように規定する。
一、外国人労働者は、まず下層労働者である。
二、外国人労働者は、都市のエスニック・グループである。
この規定に基づき、外国人労働者問題と外国人労働者の階層構成の分析のための仮説を構成する。
一、外国人労働者問題は、歴史的な在日韓国・朝鮮人問題に連続し、それに重なる。
二、下層労働者は、エスニシティに基づいて互いに階層化される。外国人労働者は、その最下層に位置づく。
三、エスニシティに基づく六つの階層化要因が、抽出される。それらは、 (1) 滞日資格の法的地位、 (2) 滞日の社会的基盤、 (3) 労働熟練度、 (4) 身体的・文化的な可視性、 (5) 文化的類似性、 (6) 文化的柔軟性、である。
本稿は、これらの仮説の (暫定的な) 検証をめざす。以て、日本の外国人労働者の (都市) 社会学的研究の可能性を展望する。
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© 日本社会学会
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