社会学評論
Online ISSN : 1884-2755
Print ISSN : 0021-5414
ISSN-L : 0021-5414
エスノメソドロジー研究の方針と方法について
ラディカルな秩序現象の再特定化
椎野 信雄
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 45 巻 2 号 p. 188-205

詳細
抄録

本稿は, EM (=エスノメソドロジー) 研究の達成業績に関する主張点を理解することを目的に, EM研究の方針と方法についてのガーフィンケルの議論を検討する試みである。EM研究と伝統的研究 (=形式的分析的社会学) が, 通約不能に代替的な社会学として対照的に識別される!それは, 社会学的研究が問題とする不朽の普通の社会における/としての (in and as) 秩序現象の産出やその説明=叙述可能性に対する強調点が異なるからである。従ってEM研究と伝統的研究における方針と方法を比較することで, EM研究の方針と方法が弁別的に明示されることになる。さらにまたEM研究というものが, 局所的に産出された, 自然にそして相互反映的に叙述可能なラディカルな秩序現象として, 秩序トピックを再特定化しており, そのことにはもっともな理由があるのだということが理解されるはずである!というのも再特定化された秩序現象には, 秩序産出のための通約不能で非対称的に代替的な二つのテクノロジーが有るからである!ラディカルな秩序現象のEM研究が見出しているのは, こうした二つのテクノロジーが, 自然に叙述可能な秩序現象を産出しているワークなのである。このような理解を通して, EM研究が社会学的研究にどのように寄与しているかを考察してみることにする。

著者関連情報
© 日本社会学会
前の記事 次の記事
feedback
Top