松江市立病院医学雑誌
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当院における噴門側胃切除術後Double Flap法による再建手技と手術成績
牧野谷 真弘福本  陽二久光 和則梶谷 真司河野 菊弘若月 俊郎
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2021 年 25 巻 1 号 p. 7-12

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抄録

噴門側胃切除術の適応および郭清範囲は2014年に改訂された胃癌治療ガイドライン第4版で記載されたが,標準的な再建法は未だ確立されてない.噴門側胃切除術の対象となる症例は,比較的予後の良いcT1N0症例であり,術後のQuality of Life(以下QOL)が重要となる.特に噴門機能喪失に伴う難治性の逆流性食道炎や胃癌の好発部位である残胃観察のしやすさが問題とされ様々な再建法が議論されてきた.その中で,近年,観音開き法の名称で知られるDouble Flap法再建が,喪失される噴門機能を形成する再建法として認識されつつある.ただ,手技上の煩雑さから導入している施設はまだ少ない.当院では2018年より噴門側胃切除術後にDouble Flap法再建を導入した.当院での再建手技の紹介および,手術成績からその有用性について検討した. 2018年11月より2020年4月に当院で胃上部癌に対して腹腔鏡下噴門側胃切除術後でDouble Flap法再建を行った5例を対象とした.全症例男性であり,年齢の中央値は60歳であった.手術時間は中央値462分(426~576),出血量は中央値10 mL(5~30)であった.術後合併症として,逆流性食道炎の発生は認めなかった.縫合不全とその後吻合部狭窄がみられた1例は,保存加療とバルーン拡張にて軽快した.さらに,術後フォローでの上部消化管内視鏡検査で吻合部潰瘍を1例に認め,プロトンポンプ阻害薬投与し経過観察中である.また,残胃の定期的な上部消化管内視鏡検査が困難となった症例はない. Double Flap法再建を導入した施設から報告されているように当院でもその有用性が示され,術後QOLを維持するための最適な再建法の一つであると考える.

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