日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
肺切除術における術後合併症と予防的呼吸理学療法の効果
川俣 幹雄田平 一行奥道 恒夫倉岡 俊彦千住 秀明
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2001 年 11 巻 2 号 p. 249-254

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抄録

肺切除を行った患者114例を対象に,術後合併症に対する呼吸理学療法の予防効果を検討した.呼吸理学療法実施群50例での無気肺発生症例数(発生率)は1例(2%)であり,肺炎,気管支鏡による吸痰,再挿管,死亡症例はいずれも0例であった.対照群64例での無気肺発生症例数(発生率)は11例(17.2%),肺炎3例(4.7%),気管支鏡による吸痰7例(10.9%),再挿管1例(1.6%),死亡0例であった.無気肺発生率,気管支鏡による吸痰患者数は呼吸理学療法実施群で有意に低値であった(p<0.05).これらのことから,呼吸理学療法は術後の無気肺,去痰不全を減少させ,肺炎も減少させる可能性があることが示唆された.また,無気肺の発生病日は1病日目1例,2病日目7例,3病日目4例と全例が3病日以内の発生であり,無気肺をさらに減少させるためには早期集約型の理学療法の重要性が示唆された.

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© 2001 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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