日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
肺高血圧症を合併した特発性肺線維症の臨床的検討
杉野 圭史山崎 陽子後町 杏子鏑木 教平岩田 基秀石田 文昭宮崎 泰斗佐藤 大輔阪口 真之佐野 剛草野 英美子磯部 和順坂本 晋高井 雄二郎本間 栄
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2008 年 18 巻 2 号 p. 156-159

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抄録

目的:肺高血圧症(PH)を合併した特発性肺線維症(IPF)の臨床的特徴を明らかにする.

対象および方法:過去4年間に当科に入院したIPF患者33例を対象に,心臓超音波検査にて推定収縮期肺動脈圧(ePAP)が35 mmHgを超えるものをPH合併例,それ以下を非合併例とし,2群間でその臨床的特徴を比較検討した.

結果:PH合併例は14例,非合併例は19例で,IPFの重症度はPH合併例で有意に高かった.

臨床症状では,労作時呼吸困難がPH合併例で有意に強く,呼吸機能検査では,VC,%VCおよび%DLcoともにPH合併例で有意に低下していた.胸部CTでは,PH合併例で有意にhoneycombingスコアが高かった.6分間歩行試験では,PH合併例で最低SpO2値が有意に低く,Borg scaleも高かった.さらにePAPと%VC,%DLco,6MWD,最低SpO2値,honeycombingスコアとの間に有意な相関を認めた.予後は,PH合併例で有意に不良であった.

考察:PHを合併したIPFでは,非合併例に比べて予後が悪く,積極的に長期酸素療法および肺高血圧に対する薬物療法を考慮すべきである.

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© 2008 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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