日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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シンポジウムⅣ
全身性疾患としてのCOPD
─なぜ全身病として扱う必要があるのか─
寺本 信嗣玉木 彰
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2008 年 18 巻 2 号 p. 95-99

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抄録

われわれが治療対象とするCOPDは,多くの場合痩せており,疲労感が強く,全身的に衰弱したイメージがある.したがって,入院治療で点滴などをしても回復するわけではなく,全身状態の改善に寄与する呼吸リハビリテーションが最大の治療戦略となっている.近年,その理論的根拠が解明されてきており,COPDの炎症は気道のみならず,全身に波及し,慢性全身炎症症候群であると提唱されている.安定期であっても酸化ストレス,接着分子,高感度CRP,TNF,IL-6などが上昇しており,これらは,動脈硬化を促進し,虚血性心疾患,骨粗鬆症,筋障害,肺感染症,肺癌,脳梗塞,糖尿病の危険因子となる.したがって,COPD患者の病態の改善には,肺や気道系の治療とともに全身合併症の管理が必須であり,それらの理解を深める必要性が高い.

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© 2008 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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