日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
COPD患者における4種の運動負荷試験の特徴
有薗 信一谷口 博之近藤 康博木村 智樹片岡 健介小川 智也渡邉 文子平澤 純古川 拓朗三川 浩太郎田平 一行
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2012 年 22 巻 1 号 p. 94-98

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抄録

【目的】運動負荷試験はさまざまな方法があり,6分間歩行テスト(6MWT),漸増シャトルウォーキングテスト(ISWT),ランプ負荷による心肺運動負荷試験(CPX),定常負荷試験などが挙げられる.本研究では,慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対して6MWTとISWT,CPX,定常負荷試験の低酸素血症や自覚症状の比較を検討した.
【対象と方法】COPD患者104例に対し,6MWTとISWT,CPX,定常負荷試験を測定し,各テストの最低SpO2と終了時の呼吸困難感と下肢疲労感をボルグスケールで測定し,比較した.
【結果】最低SpO2では6MWTは86.1%,ISWTは86.5%,CPXは90.3%,定常負荷試験は90.7%となり,6MWTとISWTがCPXと定常負荷試験より有意に低値であった(p<0.05).6MWTとISWT間では差を認めず,CPXと定常負荷試験間では差を認めなかった.終了時の呼吸困難感は定常負荷試験,CPX,ISWT,6MWTの順に有意に高度であった(7.4±2.1,6.6±2.0,6.0±1.8,5.3±2.1,p<0.05).終了時の下肢疲労感は定常負荷試験,CPX,ISWT,6MWTの順に有意に高度であった(7.6±2.2,6.2±2.6,4.5±2.4,3.6±1.8,p<0.05).
【結語】4種の運動負荷試験のなかで,最低SpO2が強く現れたのは6MWTとISWTであった.終了時の呼吸困難感と下肢疲労感が一番強いのは,定常負荷試験であった.

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© 2012 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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