日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
高頻度振動換気方法(HFOV)施行時の加温加湿不良に対する改良回路の検討
佐藤 由起子深澤 伸慈熱田 了武田 康一鈴木 勉
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2012 年 22 巻 2 号 p. 198-203

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抄録
高頻度振動換気方法(HFOV)を使用した際に,加温加湿不良が疑われた症例を経験した.この原因は,加温加湿器の吸気温度の検出位置がHFOVの換気方法に影響を受ける位置にあったためではないかと推測された.これの検証目的で,温度検出位置を改良した回路と改良前の回路モデルで,呼気吸気の温湿度,水分消費量と水分蒸散量を検討した.吸気側の相対湿度は改良後90.2±1.64%,改良前83.9±1.35%,絶対湿度は改良後41.7±0.85 mg/L,改良前38.5±0.52 mg/Lと上昇した(P<0.05).水分消費量の合計も改良後105.1±2.68 g/hr,改良前93.3±1.55 g/hr上昇した(P<0.05).水分蒸散量の合計は改良後と改良前で差はなかったが,呼吸回路で改良後38.7±1.90 mg/L,改良前33.8±0.69 mg/L(p<0.05),模擬肺で改良後0.26±0.05 mg/L,改良前4.91±1.11 mg/L(p<0.05)と模擬肺での低下が著しかった.改良を施した回路は模擬肺からの蒸散を押さえ,加湿をより促すことができたと考えられた.HFOVにおいては加温加湿器の温度検出位置が加温加湿に関与することが考えられた.
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© 2012 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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