抄録
安静時PaO2 70 Torr以上を呈し運動時SpO2低下をきたす未治療の臨床的特発性肺線維症患者8例を対象に経鼻カヌラ4 L/分酸素投与の6分間歩行試験における効果を検討した.患者背景は年齢74.0±8.8歳,男性7例,%FVC 77.1±17.6%,%DLco 72.7±19.6%,安静室内気PaO2 88.4±12.5 Torrなどであった.6分間歩行距離は401.1±100.6 mから438.4±90.4 mへ有意に延長し(P<0.01),延長量は37.3±22.6 m(最小11.0 m,最大75.0 m)であった.最大心拍数や最大呼吸困難感,最大下肢疲労感に有意な改善を認めなかったが,最低SpO2,最大呼吸数は有意に改善した.6分間歩行距離延長量と患者背景因子や最大心拍数,最低SpO2,最大呼吸数,最大呼吸困難感,最大下肢疲労感それぞれの変化量,そしてベースラインの6分間歩行距離との間にはいずれも有意な相関を認めなかった.特発性肺線維症患者における運動時酸素投与によって運動耐容能改善効果が得られる可能性が示唆されたが,その効果が得られる患者背景因子や機序は明らかにならなかった.