抄録
GOLD 2011のカテゴリー分類では,気流閉塞と増悪頻度,症状(修正MRC[mMRC]質問票あるいはCAT)を用いてCOPDを4群に分類し,多面的に評価することが求められている.症状の評価では,mMRCグレード0-1またはCATスコア≦9がLess symptoms群,mMRCグレード≧2またはCATスコア≧10がMore symptoms群に分類される.しかし実地診療では,mMRCグレードが0-1であるにもかかわらずCATスコアが≧10となり,両スコアが乖離する症例をしばしば経験する.今回著者らは,それらが乖離を認めたCOPD症例の臨床的特徴を明らかにすることを目的とした.mMRCグレード≦1かつCATスコア≧10をDis(discrepancy)群として,mMRCグレード≦1かつCATスコア≦9のL群,mMRCグレード≧2かつCATスコア≧10のM群との比較検討を行った.Dis群は全体の約30%にみられ,咳嗽・喀痰の症状が強く,%FEV1はL群とM群の中間に位置し,BMI,過去の増悪頻度,運動耐容能はM群よりL群に近い特徴を示した.