日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
禁煙が血管内皮機能に与える影響についての検討
篠田 千恵長澤 千和和田 攻
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2013 年 23 巻 2 号 p. 218-222

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抄録

血管内皮機能が心血管イベントの発症と密接な関係があり,喫煙は血管内皮機能を障害することがこれまでにも報告されている.今回われわれは前腕の阻血前後における,上腕動脈の血管径の変化を測定するFMD(flow mediated dilatation)検査で血管内皮機能を評価し,禁煙による可逆性について検討した.禁煙外来を受診した健常成人男性を対象に,禁煙外来初診時と禁煙達成3ヵ月後に%FMDを測定し,比較検討した.禁煙前の%FMDが4.6±1.7%であったのに対し禁煙後は6.6±2.7%(p<0.01)と有意な改善を認め,%FMDの改善度とpack year,喫煙年数に逆相関がみられた.禁煙により血管内皮機能の有意な改善が期待でき,喫煙歴が短いほど,その改善効果は高いことから,早期の禁煙が心血管イベント発症を予防すると考えられる.

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© 2013 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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